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〜アセットアロケーションの作成方法〜
アセットアロケーションの作成方法を見る前に、まずは基本的な事項の確認をしてみましょう。
1.投資のリスクとは何か
投資のリスクとは期待収益率からのばらつきのことで標準偏差(σ)もしくは分散(σの2乗)で
表します。リスクが小さいということは、期待収益率から下方へのばらつきが小さいということ
です。基本的にリスクは小さいほど良いでしょう。
2.リスクはリターンを蝕む
上記のケース1、2、3はすべて2年間の算術平均は20%ですが、平均からのブレがあるケース2、
ケース3は毎年同じ収益率のケース1よりも、2年終了時点での運用結果が劣ってしまいます。
このようになる理由は次の式が成立しているからです。
(1+r1)×(1+r2)≦(1+r)
結論として、平均からのバラツキが小さいほどリターンは高くなっています。
3.ポートフォリオはなぜリスクを抑制するか
複数の証券で構成されるポートフォリオの期待収益率は、組入れ 証券の加重平均となりますが
リスク(標準偏差)は加重平均を下回ります。そのため、複数の資産を組合せることで、
国内株式と同じ期待収益率で、より低いリスクのポートフォリオを作成することが可能です。
この理論こそが、アセットアロケーションを作る最大の理由といっていいでしょう。
1.事前に用意する数値
@ 各資産の期待収益率
期待収益率の計算方法は、その人毎に違うと言っていいでしょう。主な方法には、
1)ヒストリカル法(過去の長期的なリターンの平均)
2)ビルディングブロック法(リスクフリー資産の利子率に資産毎のリスクプレミアムを上乗せ)
3)シナリオアプローチ(経済シナリオ毎の期待収益率を計算し、発生確率を掛け合わせる)
などがあります。その他にも計算方法がありますが、最終的には自分自身が最適と思う方法で
算出するしかありません。
A 各資産の標準偏差
標準偏差は、各資産の過去リターンの変動率から求めますが、ボラティリティとも呼ばれます。
このため、測定期間によってその数値は当然かわります。一般的にいうリスクとは標準偏差のこと
を指します。データを取得できれば、エクセルで簡単に計算することができます。
ただ、どの期間を採用するかによって計算結果は異なることには注意する必要があります。
B 各資産間の相関係数
各資産間の収益率の連動性のことをいい、−1から+1の範囲で表されます。
2つの資産の収益率が同じ方向に動くことを正の相関関係といい、逆の方向に動くことを
負の相関関係(逆相関ともいう)といいます。また、バラバラに動く場合は無相関といいます。
データを取得できれば、エクセルで簡単に計算することができます。
相関係数が低い資産を組み合わせると互いにリスクが相殺されることから、単一の資産に比べて、
同じ収益率でもより低いリスクにすることが可能になります。
国家公務員共済組合連合会のHPでは、平成22年に改正した数字が公表されています。
その数字は下表のとおりです。
2.アセットアロケーションの期待収益率
アセットアロケーションの期待収益率は、各個別資産の期待リターンの加重平均となります。
例えば下表のケースでは
4.2%×0.25+1.2%×0.25+4.2%×0.25+1.1%×0.25 = 2.675%
ということになります。
3.アセットアロケーションの標準偏差(リスク)
資産Aと資産Bを組合せた2資産のアセットアロケ―ションの標準偏差の計算方法は、
下記の通りとなります。
3資産以上の場合も同様に上記式を拡張していきます。
4.期待収益率とリスクの組合せの計算
では、具体的に期待収益率とリスクの組合せをエクセルシートで作ってみましょう。
例として、 国家公務員共済組合連合会が使用している期待収益率と標準偏差で計算してみます。
計算の目的は、各期待収益率において、リスクが最も小さくなる資産配分比率を求めることです。
具体的には、下記のようなシートを作成すると計算が容易です。
表1の期待収益率、標準偏差と表3の相関係数は、採用する数字を手打ちで入力します。
表2で分散・共分散行列という言葉が初めて登場しています。分散・共分散行列の数字は、
対象となる2つの資産の標準偏差と相関係数を掛けた数字です。例えば、国内株式と外国株式 の
共分散は、セルC3、C5、B17を掛けた数字です
。
表4の最適化計算が、各期待収益率で最も小さなリスクとなる資産の組み合わせです。エクセルには
下記の通り数字及び関数を入力します。
@目標収益率は任意の数字を手打ち入力。
A期待収益率は、各資産の期待収益率と配分比率を掛けた数字が表示されるようにします。
例えば2%の期待収益率のセルB22では、MMULT(D22:G22,B3:B6)と入力します。
B標準偏差に入力する式は、期待収益率2%の場合を例として記載します。他の期待収益率の
標準偏差も同様に、対応するセルを入力します。
セルC22=SQRT(MMULT((MMULT(D22:G22,B9:E12)),TRANSPOSE(D22:G22)))
C組入れ比率のセルには何も入力しません。
D合計のセルはSUM関数で、各資産の配分比率の合計が表示されるようにします。
最後に、ソルバー機能を使って標準偏差と配分比率を求めます。
上記は期待収益率2%の場合です。目的セルは標準偏差のセル、目標値は最小値をクリック、
変化させるセルは各資産の配分比率のセルです。制約条件は、1)期待収益率が目標収益率以上、
各資産の配分比率は0以上、3)各資産の配分比率の合計は1(100%)とします。
上記のように入力して実行をクリックすると、各資産の配分比率と標準偏差が表示されます。
その他の期待収益率も同様にして求めます。
最終的に、下記のように期待収益率と標準偏差の組合せが求められます。
そして、運用過程で最悪な状況が発生した場合に、どの程度資産全体で値下がりする可能性が
あるか、目途を付けておきます。目途の付け方は、期待収益率から標準偏差の1.96倍下方に
見積もるのが一般的です。標準偏差の1.96倍以上の値下がりが発生する確率は統計上2.5%です。
上記の計算例の場合、最悪の状況が発生した場合の値下がり率は下表のようになります。
最後に、自分に合ったアセットアロケーションを決めます。
1.許容リスクの決定(値下がり許容額の決定)
最初に行うことは、許容リスクの決定です。許容リスクというと難しいように感じますが、
簡単に言えば 年間の最大値下り許容額を決めることです。
リスク資産を組入れればリスクがあることをだれもが承知しているはずです。しかし、それでは
片手落ちです。許容以上のリスクが生じた場合には、生活全般に予想もしなかったような大きな
悪影響を及ぼす可能性があることを忘れてはいけません。事前に許容額を設定することが最も重要な
作業であると認識してください。
許容額は各人の収入、支出、保有資産、年齢、今後のライフプランによって違うため一概には
言えませんが、 家計・ライフプランへの影響、精神への影響の両面を考慮して決定します。
2.期待収益率とリスクの組合せの決定
投資金額が既に決定している場合は、自動的にアセットアロケ―ションは決定します。
つまり、値下がり許容額が既に決まっていますので、投資金額に対する値下がり許容率も
決まってしまうからです。
例えば、値下がり許容額が200万円、投資金額が1200万円であれば、値下がり許容率は投資金額に
対して約17%です。
最悪の場合の値下がり率17%は、期待収益率3%程度になりますので、上記の表の期待収益率3%の
資産配分比率から、おおよそ国内株式35.8%、国内債券40%、外国株式24.2%に近い数字と
なります。
投資金額が決まっていない場合は、自分が志向する期待収益率とリスクの組合せを選択すること
により投資金額は決定されます。例えば、期待収益率4%、最悪の場
合の値下がり率27.86%の
組合せを選択した場合、値下がり 許容額を200万円とすると投資上限額は、
200万円÷0.2786≒720万円となります。
3.リバランス
運用開始後は、時間の経過とともに各資産の変動により組入れ比率も変動することになります。
見直しは頻繁に行う必要はありませんが、株式、金利、為替などが当初開始時から大幅に変動した
場合は、期待収益率、標準偏差、相関係数を再計算し、新たな期待収益率とリスクの組合せから
再選択することになります。
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